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第22回プラント工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社巧工業の中西です。

 

はじめに:基礎は“見えなくなる最高の品質”
プラントの寿命は、地面より下で決まると言っても過言ではありません。測量基準点(BM)の取り方、地盤改良の要否判断、杭種選定、配筋精度、コンクリートの打設・養生、アンカーボルトの芯出し、地下ピットの止水……いずれも竣工後は見えなくなるため、エビデンス(証拠)でしか品質を証明できません。だからこそ、写真・動画・実測値・試験成績・3D点群をその場で残す運用を“標準”にします。

 

1)測量と基準づくり:誰が測っても同じ値にする
• BM(Bench Mark)冗長化:工区ごとに2点以上のBMを設け、沈下や破損に備えて後背BM(敷地外既設)も設定。豪雨後・地震後の確認ルーチンを作成します。
• 座標管理:設計3Dモデルの座標系と現地の測量座標をトータルステーションで整合。測点は“目印”ではなく数値で共有(XYH)。
• 施工基準線:基礎天端、アンカー芯、機器中心、ラック通り芯を色分けで現地表示。夜間でも読める反射テープ併用。

 

2)地盤・基礎:支持層に仕事をさせる
• 地耐力の読み方:ボーリング、N値、土質(粘性土・砂質土)、地下水位、液状化。必要なら表層改良・深層混合・置換を組み合わせて、不同沈下の許容差(通り芯±5mm、レベル±3mm など)を初期設定。
• 杭・基礎形式:既製コンクリート杭、場所打杭、鋼管杭、表層改良+直接基礎。周辺騒音や振動規制、搬入制限を考慮して選定。杭頭処理のかぶり厚・鉄筋定着は写真で全数記録。
• アンカーボルトの基礎内固定:鋼製テンプレートで位置決めし、曲げ・傾きをゲージで確認。テンプレートは識別タグを付け、型枠解体まで外さない。

 

3)配筋・型枠・コンクリート:打設前の5分で未来を守る
• 配筋:鉄筋径、ピッチ、定着長、あき。スペーサー種別と数量、かぶり厚(基礎=一般的に60mm以上など)を型枠閉じ前に写真撮影。重ね継手の位置ズレ(ずらし)を図示。
• 型枠:通り・レベル・対角寸法を対角測定で検証。漏水を防ぐ目地処理、止水材位置をチョーク+写真で残す。
• 打設計画:スランプ・空気量・温度・配合を事前に確定。ポンプ車の配置、バイブレータ本数、打設区分、ジョイント位置、打設順序、コールドジョイントの回避手順を朝礼で共有。
• 養生:初期養生(湿潤・保温)、高温期は打設時間を前倒し、低温期は保温養生+防凍剤。温度計埋設で温度ひび割れ解析の根拠を残す。

 

4)アンカーボルト・グラウト:据付精度の土台をつくる
• アンカー実測:芯間、対角、露出長、ネジ山状態。レベルは水準計+レーザーで二重確認。許容差を機器仕様から逆算して設定。
• グラウト:無収縮モルタル/樹脂系の選定。基礎目荒らし→レイタンス除去→湿潤化→片側注入→エア抜き→規定強度まで無荷重。座金はリフトアップ法で撤去するか、残すなら位置を図示。

 

5)地下ピット・埋設配管・排水:水と腐食をコントロール
• 止水:コールドジョイント、貫通部の止水板・止水材。貫通スリーブは将来増設分の盲スリーブも設置。
• 排水計画:油水分離、雨水・汚水系統分離、逆勾配の未然防止。グレーチングは荷重等級を明記。
• 防食:地下配管は被覆、犠牲陽極、テープ巻き。地中での異種金属接触を避ける絶縁継手。

 

6)品質管理と記録の作法
• 試験体:圧縮強度、曲げ、促進中性化。打設ロットごとに採取し、温度履歴と紐付け。
• 出来形検査:レベル・通り・対角・開口。点群スキャンでAs-Built化し、埋設物位置図を作図。
• 引継資料:アンカー実測、埋設管・電気管の位置台帳、止水材の種類・位置、写真台帳、強度試験成績、温度履歴、コア採取位置。

 

7)よくある失敗と処方箋
• アンカー芯ズレ:テンプレート固定不足→斜め引張で再施工。是正はケミカルアンカー+構造計算で担保。
• ジャンカ・豆板:バイブ不足/打設順序不良→補修材+断面修復、防食塗でカバー。原因を再発防止会で共有。
• 逆勾配の排水:レベル基準の参照ミス→排水テストを型枠解体前に実施。

 

8)チェックリスト(抜粋)
☐ BM・座標の冗長化と日次確認
☐ 地盤・液状化評価、改良要否、杭種決定
☐ 配筋写真(径・ピッチ・定着・スペーサ)/型枠対角
☐ コンクリ配合・温度・スランプ・打設順序・養生計画
☐ アンカー実測台帳(XYH・露出長・ねじ山)
☐ ピット止水・貫通部・排水勾配の検査記録
☐ 点群スキャン・埋設台帳・強度試験成績

 

結語:“1mmの狂いが、10年のコストになる。” 地下の品質は書類でしか語れません。今の一手で未来を軽くしましょう。

 

 

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第21回プラント工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社巧工業の中西です。

 

はじめに:C(プロキュアメント)は“工期の舵輪”
調達は、図面と現場をつなぐサプライチェーン・エンジニアリングです。見積→評価→発注→製作→検査→梱包→輸送→搬入の一連を“最短で安全”に通す。ひとつの遅れがクリティカルパスに食い込みます。

 

1)購買戦略:仕様の解像度とサプライヤ多重化
• 仕様の粒度:材質・圧力・温度・塗装・検査範囲・付属品・端子箱方位まで明記。曖昧な仕様は現場にしわ寄せ。
• ダブルソース:回転機・制御盤・特殊弁などはセカンドソースを確保。納期遅延や品質問題に備える。
• インコタームズ:FOB/CIF/DAP。海上は梱包・錆対策・雨濡れ、航空は危険物判定・バッテリー条項。

 

2)品質保証(QA/QC)と ITP
• ITP:受入→中間→最終→出荷の立会ポイント、見届け・確認の定義、記録媒体。写真・動画を標準に。
• トレーサビリティ:ミルシート、WPS/PQR、トルク管理、塗膜厚、絶縁抵抗、型式試験。台帳で“部位紐付け”。
• NCR/是正:逸脱は5Why+恒久対策。再発防止は設計・調達・施工の横串で。

 

3)梱包・荷姿・出荷検査
• 荷姿図:重心・吊点・寸法・重量・重ね不可・防湿・防錆。長尺物は端面キャップ+防錆紙。
• 出荷検査:外観・数量・付属品・ラベル・取説。雨天時の開梱手順を事前に取り決め。

 

4)輸送・搬入計画と重量物
• 道路許可・経路:高さ制限、橋荷重、旋回半径。学校・病院・住宅地は時間帯で配慮。
• クレーン連携:搬入→仮置→据付の一筆書き。ヤードの仮置番号とバーコードで出庫ミスゼロ。
• 地耐力:アウトリガ下の敷板・マット、地下埋設物の有無。沈下監視を当日運用。

 

5)受入検査と保管
• 受入:数量・外観・型式・製番・付属品。到着即時の写真で時系列証拠を確保。
• 保管:乾燥・温度・埃対策。回転機は月 1 回転で軸受なじみ維持。防錆再塗布をルーチン化。

 

6)ケース:海外製制御弁の大量調達
• 課題:リードタイム 28 週、物流混乱、現地通関リスク。
• 解:ロット分割+先行便航空化、現地プレ FAT で不良率低減、予備 5% 上乗せで切替時の欠品を防止。国内側は一時倉庫+バーコード管理で混乱ゼロ。

 

7)調達ダッシュボードと早期警戒
• KPI:承認図遅延、製作遅延、検査遅延、出荷遅延、損傷率、欠品率。
• ボトルネック可視化:差戻理由をタグ化し、“設計起因/ベンダ起因/検査起因/物流起因”で色分け。

 

8)チェックリスト 
☐ MR/仕様書の粒度OK(材質・圧力温度・塗装・付属品・検査範囲)
☐ ベンダ図レビュー SLA・質疑(TQ/RFI)一元化
☐ ITP の立会ポイントと記録媒体(写真・動画)
☐ 荷姿図・防錆・防湿・重心・吊点・ラベリング
☐ 搬入一筆書き・仮置番号・バーコード
☐ 受入検査・防錆再塗布・月次回転ルール
結論:調達は“見えない工事”。紙の段取りがきれいだと、現場のリードタイムは短く、安全も上がります。

 

 

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第20回プラント工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社巧工業の中西です。

 

はじめに:FEED は“将来の自由度”を設計する段階
基本設計は、決めすぎない勇気と決め切る覚悟のバランスです。増産・改造・保全・エネルギ最適……未来の選択肢を残しつつ、現在の投資で最大の価値を生む“着地点”を見極めます。

 

1)Design Basis(設計基準)の作り方
• プロセス条件:能力、原料スペック、反応・分離条件、安全弁設定、ベント燃焼/回収の方針。
• 建築・環境:風速・積雪・地震度、騒音目標、雨水・汚水・産廃容量。
• 防爆・防災:危険物区分、ゾーニング、避難距離、消火方式。
• 保全性:“毎月触るものは直線動線に。毎年触るものはクレーン下へ。”という設計原則を言語化。

 

2)Plot Plan/レイアウトの“哲学”
• 高温・高圧・危険物は風下・居住区離隔、周囲は防液堤で区画。
• 回転機はクレーンレール直下、吸込は直線、配管ストレスが小さい位置に。
• 人の動き:巡回・点検・更新を 10 分短縮できる配置は、10 年で数千時間の価値。

 

3)PFD → P&ID:運転モードまで描く
• 常用・起動・停止・洗浄の各モードで“流れ”を追う。洗浄系は一時配管の準備も含めて P&ID に記載。
• 計器レンジ:圧力・温度・流量・液位レンジは起動・停止の端までカバー。
• SIS/ESD:層防御(LOPA)を踏まえ、SIL ターゲットを設定。Cause & Effectを試験しやすい書式で作る。

 

4)コスト・工期を左右する三種の神器
• モジュール化:足場・高所・雨天の“不確実性”を工場に移す。運搬制約(幅・重量・高さ)から逆算。
• 標準化:バルブ・計器・ケーブル・盤の型式を統一し、予備品と教育を軽くする。
• 先行工事:地中配管・基礎・ラック。長納期機器の据付基礎を先に固め、FAB を待たない。

 

5)レビュー会議の運用:決めたことが現場に落ちる仕組み
• TQ/RFI 一元化:期限・責任者・決定案をシステムで可視化。メール分散は厳禁。
• ゲート審査(L1→L4):“次工程に進める条件”を数値で宣言(例:ベンダ図 90% 返却、干渉 0 件 等)。
• 設計変更(MOC):軽微・計画・緊急でルート分岐。緊急は暫定対策→恒久対策の期限セット。

 

6)ケース:食品工場のアレルゲン管理を伴う新設ライン
• 要求:グルテン含有製品と非含有製品の交差汚染ゼロ。
• 解:原料搬入動線・更衣・計量室・配管のデッドレグ排除を FEED で徹底。洗浄バリデーションのサイクル時間を定量化し、能力計算に織り込む。結果:洗浄 45→28 分、切替ロス 38% 削減。

 

7)FEED の落とし穴と回避
• 将来拡張の“場所だけ確保”:実は構造・基礎・荷重まで考慮しないと後で地獄。仮設梁・点検空間まで確保。
• 定格ギリギリ設計:ユーティリティはピーク+余裕で。電圧降下・圧力損失を“運転点”で評価。
• 人の UI:HMI 画面は運転員の巡回順で並べる。色・アラーム優先度も運転文化に合わせる。

 

8)FEED チェックリスト 
☐ Design Basis 完成(風雪・耐震・防爆・環境・衛生)
☐ Plot Plan(人・荷・クレーン・避難・将来拡張)
☐ P&ID(洗浄・一時配管・ドレン・ベント・ロック)
☐ Cause & Effect(SIS/ESD、試験しやすい体裁)
☐ モジュール化戦略・先行工事計画・標準化方針
☐ TQ/RFI・MOC の運用と SLA
まとめ:FEED は“運転と保全の幸福度”を設計する段階。決め切ることと余白を残すことの両立が、強いプラントをつくります。

 

 

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第19回プラント工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社巧工業の中西です。

 

プラント工事は、産業用設備をゼロから立ち上げ、安定運転に載せるための総合プロジェクトです。建築・土木・機械・配管・電気・計装・防災・環境——多職種が同じ地図を見て別々の道を走り、ゴールでぴたりと合流する“駅伝”のような営み。目的はたったひとつ、計画された能力・品質・安全・コストで生産を継続させること。言い換えれば“止まらない工場”を作ることです。

 

1)全体像:上流から下流へ“川の流れ”
• 企画・FS(フィージビリティ):需要・原料・立地・法規を調べ、投資意思決定(FID)に必要な根拠をそろえる。ここでの調査漏れは、下流で雪だるま式のコスト増に直結します。
• FEED/基本設計:能力(t/h)、圧力温度、材質、防爆区分、ユーティリティ容量、将来拡張の余地を定義。ここで決まる“設計哲学”が、以降の正解のものさしになります。
• 詳細設計:P&ID、レイアウト、アイソメ、支持金物、SLD、ループ図まで細分化。干渉・動線・保全性をモデルで潰し込む。
• 調達・製作:ベンダ選定、ITP(検査計画)、立会、出荷検査、荷姿設計。納期と品質を同時に担保。
• 土建・据付・配管・電計:現地の天候・地盤・周辺環境という“自然法則”と対峙するフェーズ。段取りがすべて。
• 試運転(コミッショニング):冷試→温試→性能保証。Cause & Effectを一つずつ確かめ、運転員の手と頭に落とし込む。
• 保全・運用:台帳・予備品・点検周期をセットで渡して、“引渡=安定”を実現する。

 

2)成功の方程式=Q・C・D・S・E の“針を振らせない”
• 品質(Q):仕様と図面の合致は当然。記録(エビデンス)がその証明です。溶接、塗装、耐圧、絶縁、ループ——各試験の結果を部位に紐づけ、将来の改造時に“秒で取り出せる”状態へ。
• コスト(C):節約のコアは設計段階。モジュール化・標準化・ルート最短化で、高所・雨天・やり直しを削る。現場での“頑張り節”は長続きしません。
• 工期(D):クリティカルパスは長納期品の基礎とモジュールが握る。図面凍結→FAB→搬入→据付の“前倒しチェーン”を作る。
• 安全(S):PTW、LOTO、KYT、TBM の文化化。安全は“空気”ではなく設計可能な成果。
• 環境(E):騒音・粉じん・水・交通のモニタリングをダッシュボードで常時公開。地域の信頼は最大のリスク低減。

 

3)プラント図面の読み方:言葉以上に雄弁な“設計言語”
• PFD → P&ID:物質・熱の論理(PFD)を、弁・計器・ライン番号に落としたのが P&ID。洗浄・バイパス・ドレンのモードを事前に設計しないと、試運転で詰みます。
• レイアウト/3D:人・荷・クレーン・メンテの動線、避難、風向、防爆距離。“人が動ける”設計こそが名設計。
• アイソメ:溶接位置、サポート、傾斜、伸縮継手。現場で安全に作れる割付になっているかが肝。

 

4)“典型的な手戻り”と回避術
1. 干渉:3D でクラスチェック+施工順序のアニメで最終確認。足場・仮設もモデル化。
2. 長納期遅延:ベンダ図レビューの SLA を数値化。差戻理由をタグ化し、詰まりの種類を可視化。
3. 配管ストレス:固定点の思想不足。固定→ガイド→スライドの連鎖を崩さない。
4. 計装ノイズ:電力・計装の離隔・接地不備。設計・施工・試験で三重チェック。

 

5)現場の 1 日:時間が“成果物”に変わる瞬間
• 7:45 朝礼・TBM(危険源と対策の共有)→ 8:15 段取り合わせ(クレーン・足場・同時作業の干渉確認)→ 9:00 作業開始(チェックリスト運用)→ 12:00 昼休憩(WBGT 確認)→ 13:00 作業再開(写真・点群で出来高記録)→ 16:00 片付け・清掃(転倒・落下源の撤去)→ 16:30 日報・是正(NCR/是正の即日クローズ)→ 17:00 翌日の制約レビュー。

 

6)ミニ事例:化学プラントの増設ライン
• 課題:既設稼働中でスペース制約、爆発等級 IIB/T4。搬入路は学校前を通る狭路。
• 解:フルモジュール化(ラック・ケーブルトレイ一体)で夜間 2 回の揚重に集約。近隣説明+月次レポートで苦情ゼロ。DCS ロジックはCause & Effect を現場言語に翻訳して試験。結果、休転 36 時間で切替成功。

 

7)チェックリスト(抜粋)
☐ Design Basis(圧力・温度・材質・爆発・耐震・風雪)
☐ P&ID(洗浄・フラッシング・ドレン・ベントの経路)
☐ レイアウト(人・荷・クレーン・避難・騒音)
☐ 調達(ITP・ベンダ図 SLA・荷姿)
☐ 施工(WBS・吊り計画・仮設・NDE)
☐ 試運転(PSSR・ループ・C&E・PG Test)
☐ 引渡(As-Built・台帳・予備品・SOP・CMMS)
まとめ:プラント工事は“設計で勝ち、現場で取りこぼさない”競技です。人が迷わず動ける図面と段取りをつくれば、コストも品質も安全も、同時に良くなります。

 

 

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第18回プラント工事雑学講座

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~“黄金の48日”~

定修(シャットダウン)は、止めた瞬間からカウントダウン。安全・品質・期間を守りながら、確実に再立ち上げるための“型”を公開します。前工程の準備8割で勝負を決め、ゼロ災・ゼロ漏洩・ゼロパンチでの再稼働を目指しましょう。


1|T–90〜T–30:準備フェーズ(止める前が本番)

  • スコープ確定:回転機O/H、熱交洗浄、塔槽内点検、弁整備、配管取替、計装校正

  • WBS/ネットワーク:クリティカル経路、並列作業、足場/クレーン共用計画

  • 資機材:予備品(メカニカルシール、ベアリング、パッキン、ガスケット)、洗浄薬品、窒素

  • 人員計画:昼夜2交代、技能マトリクス、作業主任者の配置

  • リスク評価:酸欠・硫化水素・可燃ガス・高温・高圧—JSAと救出計画を事前承認

  • 許可と教育:PTW、LOTO、救命・消火訓練、密閉空間入域訓練

  • ベースライン写真:運転中の音・温度・振動値をログ化(比較用)


2|T–3〜T0:停止手順(安全に“止める”)

  • 逐次停止SOP:原料遮断→循環停止→冷却→ブロー→窒素パージ(不活性化)

  • エネルギー遮断:電気・圧空・蒸気・薬液をLOTOし、ゼロエネルギー確認

  • ガス検知:LEL/酸素濃度を入域前・作業中・復帰前に継続測定

  • 廃液・残渣管理:中和・希釈・一時保管をマニフェストで管理♻️


3|T+1〜T+30:定修作業本体(並列を制す)

  • 塔槽内点検:トレイ/充填物/内部腐食、ノズル摩耗、ライニング欠損を写真&寸法で記録

  • 熱交:チューブ抜け・詰まり・肉厚測定、水圧試験でリーク確認

  • 回転機:O/H、芯出し、オイルフラッシュ、振動基準の再設定

  • 配管:減肉部更新、サポートがたつき、塩ビ/FRPは亀裂重点

  • :分解清掃、シート交換、スプリング設定、インラインリークテスト

  • 計装:校正、レンジ見直し、インターロック試験(SIFはプルーフテスト

  • 塗装・保温:CUI(保温下腐食)対策、ドレン設置、識別ラベル更新

進捗は日次朝礼10分+夕礼10分でKPI(出来高%、災害ゼロ、パンチ数)を共有


4|品質と安全の“ダブルロック”

  • ITP:各工程の検査タイミング(立会い/自主/第三者)を固定

  • コンファインドスペース管理:換気量、連続ガス測定、引揚装置、待機員のロール明確化

  • 火気作業:ホットワーク許可、火花養生・消火器・防火監視

  • 高所作業:先行手摺・フルハーネス・墜落制止器具点検

  • 環境:廃液/廃油/汚泥/スケールの分別・分析・処分記録


5|T+31〜T+40:系統復旧と試運転前検証

  • リークゼロ確認:耐圧→気密→石鹸水/ヘリウム(必要に応じ)、フランジ増締め

  • フラッシング:油/水/薬液系のクリーン度確認(ISOコード/導電率/濁度)

  • インターロック:E-STOP、PSHH/PSLL、LSHH/LSLL、火災・ガス検知の横断試験

  • O&M更新:手順書・点検表・予備品リスト・図面Revを最新版


6|T+41〜T+48:再立ち上げ(Start-Up)

  • 冷態→温態→負荷上げを段階実施、運転員がパラメータ目標を握る

  • 初期不良の芽摘み:振動・温度・圧力・流量の逸脱に即応

  • パンチクローズ:A=即修、B=短期、C=計画保全へ移管

  • 事後レビュー:安全・品質・工程・原価の反省と次回改善を1週間以内に実施


7|そのまま使える“定修パック”チェックリスト ✅

書類類

  • WBS/ネットワーク & クリティカル経路

  • PTW様式/LOTO手順/救出計画/ガス測定記録

  • ITP・試験成績書テンプレ・パンチリスト

現場

  • 足場・クレーン・照明・換気の仮設完了

  • ガス検知器・酸素濃度計・救命器具・消火器

  • 予備品・消耗品・盲板セット・窒素ボンベ

試運転

  • I/O完了、リークゼロ、インターロック合格

  • SOP更新、運転員教育、初期保全計画


ポイント

定修のカギは前倒しの可視化
スコープ確定→WBS→資機材→HSE→品質→試運転まで“黄金の48日”を型化すれば、ゼロ災・ゼロ漏洩・オンタイムが現実になります。

 

 

 

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~“止まらない”現場をつくる~

化学・食品・エネルギー・環境設備——多様なプラント工事の共通解は、**E(設計)・P(調達)・C(建設)・Cx(試運転)**を一本の線でつなぐこと。この記事では、品質・安全・工程・原価を同時に満たすための運用“型”を、すぐ現場で使えるチェック付きで解説します。✨


1|E:設計段階で勝負の7割が決まる ️

  • ベーシス設計:処理量、原料スペック、連続/バッチ、将来増設の余裕を確定

  • P&ID整流化:隔離弁・ドレン・ベント・計装取り合いを試運転手順から逆算

  • 3D/BIM連携:配管クリアランス、歩廊高さ、点検動線、クレーン旋回域まで干渉排除

  • 保全性設計:ポンプ抜き出しスペース、熱交チューブ抜きしろ、足場不要の点検を標準化

  • 材質選定:腐食線図、温度・圧力、クラック対策(SCC、低温脆性)を反映

  • HSE設計:防液堤、ガス検知、非常遮断、避難動線、防爆区分

  • 文書体系:図番規格、改訂ルール(Rev.管理)を最初に決める

メモ:試運転手順を先に書く→設計に戻す。 逆算で“実際に回る”仕様になります。


2|P:調達は“仕様×納期×トレサ”の三点固定

  • L1/L2/L3評価:価格だけでなく納期・品質保証・過去実績を数値化

  • キット化納入:系統ごとにボルト・ガスケット・支持材をセット化→現場ロス削減

  • ミルシート&MTR:ヒートNo.とタグNo.をデジタル台帳で一気通貫

  • 長納期品の前倒し:制御盤、特殊弁、回転機は前倒しFATで不具合潰し

  • 検査ポイント:第三者(TPI)/立会い検査/受入検査の**ITP(検査計画)**で見える化


3|C:建設は“段取り8割”の世界 ️️

  • エリア分割×系統優先:クリティカル経路(CP)を試運転系統から決める

  • 仮設計画:クレーン・足場・搬入動線・仮電・仮配管(ユーティリティ)を平面/断面で提示

  • 溶接・NDT:WPS/PQR→溶接者資格→溶接マップ→RT/UT/PT/MT→是正→再検

  • 配管クリーン度:フラッシング、ピックリング、オイルフラッシュ、ブローイングの基準化

  • 圧力試験:耐圧→気密→リーク→乾燥→窒素置換。ドレン位置盲板計画が鍵

  • 塗装・保温:膜厚管理、ラップ方向、ラベル/流れ方向矢印まで一体管理

  • 日次KPI:出来高(%)、安全KY、未解決パンチ、障害ログを毎朝10分で共有


4|Cx:プリコミ→コミッショニング→スタートアップ

  • プリコミ:I/Oチェック、ケーブルメガ、回転機芯出し、オイル循環、配管洗浄

  • コミッショニング:無負荷試運転→有負荷→インターロック試験→受入基準合否

  • スタートアップ:原料導入、定常化、SOP教育、初期不良の予防保全立ち上げ

  • パンチ管理:カテゴリA/B/Cで区分、**MOC(変更管理)**と連動しながらClose


5|HSE(安全)を“仕組み”にする

  • 許可制:高所・火気・酸欠・密閉空間・掘削・吊り荷はPTW(Permit to Work)

  • 隔離手順:LOTO(ロックアウト/タグアウト)→ゼロエネルギー確認

  • リスクアセス:JSA/KY→当日ハザード更新→指差呼称で現場定着

  • 非常対応:避難訓練、消火器・シャワー・洗眼の位置掲示

  • 記録:ヒヤリハット→是正→再発防止のKYTボードで共有


6|“紙と現場”をつなぐQMS(品質マネジメント)

  • **ITP/IR(検査要請)**の時系列運用

  • RFI/RFC:設計照会→回答→図面反映のリードタイムを測定

  • デジタル台帳:図面、チェックシート、写真、MTR、試験成績書をタグNo.紐付けで一元管理


7|今日から使えるチェックリスト ✅

事前

  • P&IDフリーズ/試運転手順ドラフト

  • クリティカル納期品の発注・FAT計画

  • PTW様式・LOTO手順の教育完了

施工中

  • 溶接マップ更新/NDT合格率>95%

  • 配管洗浄・試験の写真&成績書整理

  • 日次KPIと障害ログの是正期限設定

試運転

  • I/O100%確認/インターロック試験

  • パンチAゼロで引渡し

  • O&M引継ぎ、予備品・消耗品受領

 

 

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第16回プラント工事雑学講座

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さて今回は

 ~経済的役割~

プラント工事とは、工場や発電所、上下水処理場、石油化学施設、バイオマス発電設備など、さまざまな大型施設の設計・建設・据付・配管・電装までを含む、総合的なエンジニアリングプロジェクトです。この分野は「ハードをつくるだけ」ではなく、社会の生産活動やインフラ基盤を担う経済の土台ともいえる役割を果たしています。

プラント工事がもたらす多面的な経済的価値とその波及効果について、産業支援、雇用創出、インフラ整備、イノベーション、グローバル展開といった観点から深く考察します。


1. 産業基盤を支える供給インフラの構築

プラント工事が担う最大の経済的役割は、産業活動に必要不可欠な生産・供給設備を構築することです。

  • 化学・石油・鉄鋼・電力などの基幹産業における大量生産体制の実現

  • 半導体・医薬品・食品工場など、ハイテク・衛生分野の品質管理施設の構築

  • 水道・下水処理・ゴミ焼却場など、公共インフラの整備と維持

これにより、企業の事業運営や地域社会のインフラ機能が成立し、産業活動が安定して継続される環境が整います。プラント工事は、いわば「供給側の装置産業」であり、その整備なしに経済活動は成り立ちません。


2. 雇用の創出と技術者育成による地域経済への貢献

プラント工事は、設計・製造・輸送・据付・保守など、数多くのプロセスから成り立っており、多様な職種にわたる雇用を創出します。

  • プロジェクトマネージャーや設計技術者

  • 配管・溶接・電気工事などの技能者

  • 現場監督、安全管理、調達管理

  • 調整や試運転を担う制御・計測エンジニア

地方自治体のインフラ整備プロジェクトでは、地域住民の雇用や地場企業との連携によって地域経済の活性化にも直結します。また、職業訓練やOJT(現場教育)を通じて、高度技能人材を育成する場にもなっています。


3. 高付加価値産業を支える国家の競争力強化

近年、再生可能エネルギー、電池製造、半導体、バイオ医薬品などの分野では、設備そのものの質が国の競争力を左右する重要な要素となっています。

  • 高度な生産設備の構築 → 高品質製品の供給

  • 自国生産能力の強化 → サプライチェーンの安定

  • 工場建設の迅速化 → 投資リターンの早期実現

こうした高度プラントの建設能力を国内に保持することは、国家レベルでの経済安全保障にも寄与する重要な戦略的要素となっています。


4. 投資の呼び水としての役割

プラント建設には数十億〜数千億円規模の投資が伴います。これらのプロジェクトは、周辺産業への波及効果(乗数効果)を持つ投資刺激要因にもなります。

  • 資材供給、物流、仮設、宿泊、飲食業などへの発注

  • 建設後の運営・保守・エネルギー供給事業の展開

  • 立地地域における住宅需要やインフラ整備の拡大

このように、プラント工事は単体での雇用や収益だけでなく、波及的に地域経済を押し上げる起爆剤としての側面も担っています。


5. グローバル展開と外貨獲得

日本のプラントエンジニアリング企業は、海外においても数多くの大型案件を手がけており、**技術力・施工力を輸出する“知的インフラ輸出産業”**として成長を遂げています。

  • LNGプラント、製油所、火力発電所、海水淡水化施設など

  • EPC契約による一括請負体制(設計・調達・建設)

  • 国際プロジェクトでの現地人材育成・地域雇用促進

これにより、外貨獲得や海外企業との長期的な経済連携が実現し、世界市場におけるプレゼンスの向上にも貢献しています。


6. カーボンニュートラル社会への経済的インパクト

脱炭素社会の実現に向けて、プラント工事は次のような重要な分野で経済的転換を支援しています。

  • CO₂回収・貯留設備(CCS/CCUS)の整備

  • グリーン水素製造プラントやバイオマス発電所の建設

  • 再生可能エネルギー発電所の設計・運用最適化

これらは脱炭素化に向けた産業の変革投資を後押しし、新たな成長市場と雇用の創出にもつながっています。


プラント工事は「経済のエンジンをつくる産業」

プラント工事は、経済活動の根幹を支える生産設備・社会インフラを実現する産業であり、その役割は単なる“建設業”の枠にとどまりません。投資誘発・雇用創出・産業支援・国家競争力の強化・技術輸出・環境対策といった多層的な経済効果を持ち、現代社会の成長エンジンとなっています。

これからのプラント工事は、単に大きなものを「つくる」のではなく、未来の経済構造を「かたちにする」戦略的な産業であるといえるでしょう。

 

 

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さて今回は

~多様化~

 

プラント工事は、化学・石油・電力・製鉄・水処理・食品・医薬品など、さまざまな分野の工場・設備建設を担う重要な業種です。これまでのプラント工事は、大規模施設の建設・改修に特化した専門性の高い業務というイメージが強くありましたが、近年では社会構造の変化やテクノロジーの進化に伴い、その内容や提供価値が大きく多様化しています。

プラント工事における多様化の実態と背景を、設計・技術・働き方・産業構造・社会的要求などの視点から深掘りしていきます。


1. 対応業種の多様化:エネルギーからライフサイエンスまで

かつてのプラント工事の中心は、石油・化学・発電といった重工業分野でした。しかし現在では、以下のような広範な産業分野への対応が求められています。

  • 再生可能エネルギー(太陽光、バイオマス、風力)関連設備

  • 半導体・電子部品製造向けクリーンルームプラント

  • 医薬品・食品分野のGMP準拠プラント

  • 水素やCO₂回収・利活用(CCUS)といったカーボンニュートラル関連設備

これにより、プラント工事は**“重厚長大な工事”から“精密・クリーン・再生型の工事”**へと守備範囲を広げています。


2. 設計・施工手法の多様化:デジタル化と省人化の波

工事の手法も、従来の紙図面や現場主導型から、デジタルとプレファブによる高度な設計・施工統合型へとシフトしています。

  • BIM/CIMによる3D設計と干渉チェック

  • プラント全体をデジタルツインで再現し施工・運転シミュレーション

  • モジュール化によるプレファブ施工(配管ラック・機器ベースのユニット化)

  • ドローンや自律搬送ロボットによる現場監視や運搬

これにより、工期短縮・コスト削減・品質の均一化が進み、より高効率でミスの少ない施工体制が構築されています。


3. 働き方の多様化と人材確保の課題

人手不足が深刻化するなかで、プラント工事業界では新たな働き方や人材像への対応が進んでいます。

  • 多能工や技能継承のためのOJT・VR教育の導入

  • 女性技術者・外国人技能者の活用

  • テレワークによる遠隔設計・現場支援

  • 週末帰省型の現場勤務(ワークライフバランス重視)

現場作業のみに頼らず、企画・設計・保守までを一貫して支える多機能型人材の登用が重要視されています。


4. 安全・環境・規制対応の多様化

プラント工事は、従来から高い安全管理基準が求められてきましたが、今ではそれに加えて環境・SDGs・ESGの視点も不可欠です。

  • ISO14001、ISO45001などの環境・労働安全基準への対応

  • 脱炭素・省エネ設計(ゼロエミッション設備や再エネ導入)

  • 地震・洪水など自然災害対策を含めたBCP対応設計

  • 地域住民・行政との連携を意識した施工ガバナンス

こうした対応力は、企業としての社会的信用や入札競争力にも直結しており、単なる施工力以上のトータルマネジメントが評価されています。


5. サービス内容の多様化:工事からライフサイクル支援へ

かつてのプラント工事は「建てて終わり」でしたが、現在は以下のようなライフサイクル全体を支えるビジネスモデルへと拡張しています。

工程 サービス例
計画・設計 事業性評価、コストシミュレーション、環境影響評価(EIA)
建設 EPC一括請負、モジュール施工、工期短縮工法
試運転・立ち上げ トレーニング、機器調整、制御プログラム最適化
運用・保守 保全計画、デジタル監視、IoT保守、部品供給
更新・解体 改修設計、撤去・再利用、廃材リサイクル対応

こうした流れにより、プラント工事会社は単なる施工業者から“産業インフラのパートナー”へと進化しつつあります。


多様化はプラント工事の“可能性”を拡張する力

プラント工事は、重厚な設備をただ「組む」作業ではなく、社会・産業・環境と連動しながら未来の産業基盤を設計・構築・支える総合エンジニアリングです。

多様化する社会課題や産業構造に対応し続けることで、プラント工事業は「旧来型の現場産業」から、「高付加価値・知識集約型産業」へと進化を遂げつつあります。

その先には、持続可能な社会、安定した供給網、脱炭素経済の構築といった、極めて重要な未来価値が広がっているのです。

 

 

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さて今回は

~施工管理~

ということで、今回は、プラント工事における施工管理の基本から実務上のポイントまでを深掘りして解説します。

 

プラント工事は、配管、電気、機器据付、土木・建築など多岐にわたる工種が絡み合う巨大プロジェクトです。その中心に立ち、現場を安全・品質・工程・コストの全方位からマネジメントするのが施工管理者の役割です。


【1】工程管理:工期遵守と干渉防止の両立

■ チェックポイント

  • 工種ごとの「クリティカルパス」の見極め

  • 他工種との作業干渉(例:配管工と電気工)の排除

  • 週次での工程見直しとリアルタイム修正

■ 実践のヒント

  • 3Dモデルによる工程シミュレーション

  • 進捗管理表のデジタル共有(クラウド管理)


【2】安全管理:ゼロ災害のための仕組み作り

■ チェックポイント

  • 危険箇所(高所・狭所・密閉空間)の把握

  • KY活動(危険予知活動)とヒヤリハット共有

  • 作業員の資格確認と多言語対応(外国人労働者含む)

■ 実践のヒント

  • 毎朝のTBM(ツールボックスミーティング)

  • 安全パトロールの定例化と即時是正


【3】品質管理:工事後の信頼を担保する要

■ チェックポイント

  • 各工程の「検査タイミング」の明確化(中間検査・最終検査)

  • 材料のミルシートやロット管理の徹底

  • 図面との整合性(現場での“場当たり施工”の排除)

■ 実践のヒント

  • 第三者検査機関との連携

  • スマホでの写真記録&電子帳票保存


【4】コスト管理:追加費用の未然防止

■ チェックポイント

  • 作業日報と実績との突合(過剰人員の抑制)

  • 設計変更・仕様変更の即時反映とコスト試算

  • 協力業者との契約内容(変動費項目)の明文化

■ 実践のヒント

  • 月次予実報告のテンプレート化

  • コスト変動を共有する“見える化”ボード


【5】コミュニケーション管理:多業者の連携を強化

■ チェックポイント

  • 定例会議の運営と議事録管理

  • 作業調整会議での「タスク横断共有」

  • 不具合・課題への早期フィードバック

■ 実践のヒント

  • LINE WORKSやSlackでの即時報告体制

  • Googleスプレッドシートなどの共有型進捗ツール


施工管理は“現場の未来を設計する仕事”

プラント工事の成功は、単に作業を完了させることではなく、「安全・品質・納期・コスト」のすべてを満たすことにあります。その中心に立つ施工管理者は、単なる現場監督ではなく、プロジェクトの総合プロデューサーとも言えます。

 

 

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さて今回は

~起きやすい代表的なトラブル~

ということで、プラント工事で起きやすい代表的なトラブルと、その原因・対策を体系的に解説します。

 

石油化学、製鉄、食品、製薬など、多種多様な業界を支える「プラント工事」。一つのミスが操業停止や環境事故につながるため、綿密な設計と高度な施工管理が不可欠です。

しかし現場では、工程・安全・品質・コスト面で多くのトラブルが発生しがちです。


【1】工程トラブル:納期遅延・スケジュール崩壊

主な原因

  • 設計変更の頻発

  • 資材納入の遅れ

  • 他工種との作業干渉(工事区画の重複)

  • 無理な工程設定(天候や休工日を無視)

対策

  • 現場実態に即した工程計画

  • リスクバッファの確保(遅延吸収日数)

  • 週次での工程確認とPDCA管理

  • 3D施工シミュレーションの活用


【2】品質トラブル:溶接不良・機器不適合

主な原因

  • 作業員の技量不足

  • 検査体制の甘さ(非破壊検査未実施)

  • 図面と実施工の不整合

  • 部材や機器の選定ミス

対策

  • 施工前教育・技術研修

  • ISOやJIS規格準拠の検査体制構築

  • トレーサビリティ(履歴管理)確保

  • 立会検査と第三者検証の導入


【3】安全トラブル:労働災害・火災事故など

主な原因

  • 高所・密閉空間作業時の安全措置不足

  • 電動工具やクレーン操作時の指差呼称不徹底

  • 協力業者間の情報共有不足

  • ヒューマンエラー(慣れ・過信)

対策

  • KY(危険予知活動)の徹底

  • 作業手順書(SOP)の整備と周知

  • 多言語対応の安全教育(外国人労働者含む)

  • 日々の安全パトロールと即時是正措置


【4】コストトラブル:予算超過・追加費用の発生

主な原因

  • 設計変更に伴う手戻り

  • 工期延長による人件費・資材費の増大

  • 外注費や調整費の見込み違い

対策

  • コスト管理表の週次更新とモニタリング

  • リスクマネーの事前確保

  • 契約段階での「追加工事条件」の明記

  • 業者間での透明性ある価格交渉


【5】書類・報告体制の不備

主な原因

  • 工事記録の未保存

  • 申請遅れ・提出漏れ

  • 現場担当者の引き継ぎ不足

対策

  • クラウド型施工管理ツールの導入

  • 作業日報・検査記録のデジタル保存

  • 定型様式とマニュアルの整備


プラント工事は“予見と連携”が鍵

プラント工事は一つのトラブルが連鎖しやすく、結果として安全事故や操業遅延、巨額の損失に発展することもあります。だからこそ、予見力と連携力に優れたプロジェクト運営が求められます。

 

 

 

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